八経ヶ岳

 梅雨入り最初の週末に最初の梅雨の晴れ間がのぞきそうなので、2年ぶりに弥山・八経に登る。とても国道とは思えない309号を走って行者還トンネル西口へ着くと、すでに車で一杯。何とか端っこにとめて湿度の高い道を稜線上の奥駈道めざして登る。
 下部にはもう花の姿はないが、稜線に出るとシロヤシオが道に散り敷き、枝にも少し遅いが花が残っている。聖宝の宿跡まではなだらかな稜線の道。小笹やバイケイソウの群落がみずみずしく林床を彩る。その先は弥山小屋までの一気の登りだが、30人ほどの団体さんに追いついてしまい、仕方なくダラダラ歩きに着いていく。10人を越えるような団体登山は、登山道では大いに迷惑。
 小屋から八経ヶ岳までは新緑のカエデの森を行く。鹿避け柵に守られてオオヤマレンゲもずいぶん復活している。残念ながら花にはまだ早い。人の多い八経ヶ岳はそのまま通過して、明星ヶ岳手前の弥山辻まで奥駈道を進む。辻からは稜線を離れて、北西へなだらかな尾根を下る。天川から弥山に登る古い登山道に合流する、最近歩かれるようになった道。右に沢音が高くなってくると、ルートを離れて斜面を適当に下降。ちょうど弥山川が北へ向きを変える、伐採小屋の残骸が右岸に残る辺りに降り立った。
 今日のお楽しみがこの弥山川。狼平までの滑めと淵と小さな滝が連なる流れは、眺めても歩いても楽しい。途中、1mほどの小滝の下の大きな淵のほとりで、小砂利に腰を降ろして大休止。湯を沸かしていると淵に岩魚の影が動く。川上の道の駅で買ってきた柿の葉寿司を頬張りながら見ていると、水面に落ちた虫をねらって、岩魚がしきりに波紋を起こす。釣でいうところのライズ。この川は永久禁漁になっているので、のびのび遊ぶ岩魚の姿を近くで見ることができる。
 岩魚のライズを何とかカメラに納めようと何度もシャッターを切るが、動きが早すぎて難しい。コーヒーを淹れ、岩魚と遊んでいるうちに、気がつけばずいぶん経っている。大満足で狼平まで流れを下り、登山道に復帰して弥山小屋に登り返し、そのままトンネル西口へ下った。ほとんど一車線道路の国道を天川へ抜け、天川温泉で汗を流す。
トンネル西口から弥山・八経ヶ岳GPSログ
シロヤシオの咲きこぼれる道
楓の森を八経ヶ岳へ
まだ固いオオヤマレンゲの蕾
肩を並べる弥山と八経ヶ岳
岩魚の遊ぶ淵
しきりに岩魚がライズ
きれいな渓相が続く弥山川
狼平は気持ちのいい宿泊地
大普賢岳を望みつつ下る