播但ドライブ

 休日なのか平日なのか微妙なメーデー。よめさんを誘って恒例の中国山地ドライブに出かける。今回は氷ノ山の帰りに目星をつけておいた但馬への道。播磨一宮から県道6号を北上するコース。
 出発が遅くなったので、まずはお弁当を買って、一宮から揖保川沿いに遡った三方町家原遺跡公園でお昼。揖保川と公文川、二つの川にはさまれた小高い丘の上に、縄文時代から中世までの複合遺跡があって、竪穴住居や中世の建物が復元されている。昨秋、大山登山の帰りに寄った山陰の大遺跡、妻木晩田のしょぼい復元など比べ物にならない立派な復元家屋が立ち並んでいてビックリ。中世建物に上がり込んでランチタイム。園内には木工や陶芸の工房もあって轆轤引きの木の食器が無人販売されている。全国の土鈴のコレクションなんてのも展示されてるが、どこも無人開放。なんというおおらかさ。
 三方から県道6号を北上して一山越えると明延。年配者なら昔社会で習ったに違いないかつての鉱山町。最盛期には数千人が住んだというが、87年に閉山され今はひっそりしている。観光化も生野のようには進んでいないよう。かつての鉱山住宅が早くも産業遺跡の風情を漂わせて目を引く。そのまま、山吹の咲く山道を走り、クリーム色の土壁が特徴的な民家が並ぶ山村を抜けて大屋の町に出、加保坂のミズバショウ公園をめざす。
 公園は大屋と関宮の間に東西に伸びる標高700mほどの丘陵上にあって、日本の南限で西限のミズバショウの自生地。75年に発見されるまではミズバショウの南限は岐阜県の蛭ヶ野高原とされていたそうで、氷河時代から隔離的に生き残っている超貴重なミズバショウとか。駐車場から少し歩いて小さな沢筋に下ると、ちょろちょろ水が流れる湿原があって、白い花が咲いている。中部高地の立派なミズバショウに比べると貧弱だが、よくぞこんな所に残っていてくれましたといいたくなる。温暖化で生育条件は悪化しているそうで、先行きが心配。園内の早春の雑木林にはヤマザクラが咲き、スミレ・イカリソウが林床を彩る。おっ、コシアブラ発見。
 加保坂からは丘陵上を走る林道を、春の景色を眺め、コシアブラを探しつつしばらく進んでから隠れ里のような轟の集落を経て麓の出合に下る。稜線上からはまだ雪まだらの氷ノ山と鉢伏山の大観が得られて得した気分。和田山に出て播但道に乗って帰宅。