カラヤン

 土曜日BShiでやっていたカラヤン生誕100年の大特集は見応え・聴き応え十分だった。特に午前中に放送していた「ヘルベルト・フォン・カラヤン―その目指した美の世界」と題するドイツ制作のドキュメンタリーは、記憶しておきたい言葉・証言・シーンが数知れずで、結局ほとんど記憶する能わず、デジタル放送が録画できる環境にないのが残念無念だった。いつかアナログで再放送されることがあったら必録。
 雑感。その昔、絶大な権力を許された王様・皇帝というものがいて、数々の愚行とともに、時に彼らにしか成し得なかった偉大な事績を残した。特に建築物・庭園・都市とその文化などの面で。今や一人の人間がそのような超絶的な存在になることは、一部の時代錯誤的な専制国を除いて許されていないが、もしかしたら指揮者というのは現代に許された唯一の超絶的な存在たり得る立場なのかもしれないと思った。もちろんそれを保証するのは血統ではなく彼自身の能力なのだが、能力は称賛を得てさらに富み、称賛はいつしか帰依と服従に変わり、彼は音楽の皇帝になる。カラヤンの事績にはそんな皇帝の偉大とともに愚行も多いが、そこまで専制者たり得たのも、後にも先にもやはりカラヤンただ一人かもしれない。
 最近はiPodで小さな音楽を聴いてばかりだが、スピーカーを大音量で鳴らしてオーケストラが聴きたくなった。カラヤンチャイコフスキーリヒャルト・シュトラウス…。やっぱり新しいアンプを買うべきかな。