異邦人


 アジサイぐらいの大きさのこの派手な花。実は名前も知らなければ、氏素性も知らない。親類の庭からやってきて、いつの間にか居ついてしまったが、元の庭にはもうなく、尋ねてもそんな花あったかいな、と言われる家なき子。こちらの庭で大切にしてやればいいのだが、好きになれないのである。華美過ぎる花がどうも異質だし、ナスをワイルドにしたような暗緑色の葉も面白くない。そして、その葉や茎に触れただけで手に移るキツイにおいが、またいただけない。憎まれっ子世に憚るで、やたらと丈夫なのも可愛くない。表舞台からは取り除けたけれど、デッキの下の僻地に逃げ延びて、板の隙間から葉を展開したり、花壇の方にのさばり出て、こうしてちゃっかり咲くのもいる。
 地球のどこからやってきた何という花か。知りたいような、知りたくないような。アジアの田舎に突然現われたケバいラテン系のネエちゃんみたいなこの花を、上手に利用している庭があったら、ぜひ拝見したいものだ。