入梅

 ○農功
 農功五月 弦よりも急なり
 牟麦 わずかに収めてすでに田を挿す
 一夜園林 濯枝の雨
 猫児山下 水 天を涵す
 菅茶山の黄葉夕陽村舎詩巻ノ二から。茶山は単に花鳥風月の背景としての天候ではなく、生業との関わりのなかで自然現象をうたうことが多かった人だ。他の詩人にくらべて雨の詩がだんぜん多いのも、農耕にとって大切なものだからだろう。猫の子山?から見下ろせば、一面の鏡のような水田が空を写してるというのは、まさにこの季節の神辺盆地の実景だったろう。
 そういえば[荒島岳ライブカメラ]の麦畑もいつの間にか刈られてる。ラニーニャ現象とやらで、今年は空梅雨・猛暑の可能性もあるようだが、暖かい冬と寒い春と五月晴れのない五月と、調子の狂った半年を経てきただけに、梅雨らしい梅雨を願いたい気もしてしまうのだ。