雑感

 最近、感じることがある。日本には故無き権威が多過ぎる。社会のあちこちに小帝王・小家元がいるのだ。彼らは辺りを払って権威然としているし、周囲の人々はそれを自明のこととして奉っている。もちろん権威者が権威者となるためにはそれなりの成功の経歴があるのだろうが、その成功が奉るにふさわしいものかは誰も検証していない。もしかしたら権威を必要とする組織の論理があり、最初は無理矢理作り上げられた権威だったかもしれない。しかしこの社会では、一度権威が成立すると、人々はそれをアプリオリに受け入れる。組織の必要による僣帝はすぐに正帝になり、服従は組織の外にも広がっていく。その過程で誰も権威の正当性、故無き過褒ではないかを、また奉り方が過剰ではないかを、一人ひとりの人間的価値観に従って検証しない。思考停止で右へ倣えで奉るのだ。小帝王は髭を生やし始める、変な服を着始める、そしてわけの分らないご託宣を垂れるようになる。たぶん組織か本人かが死ぬまで。
 最近思う。この社会はほっといたら、封建的主従関係にみごとに逆戻りするんじゃなかろうかと。それを掣肘できるのは外圧だけかもしれないと。