願教寺火山

 金曜日に登った願教寺山とその周辺に列をなして聳える野伏ヶ岳・薙刀山・日岸山・よも太郎山・三ノ峰などの山々は、約300万年前に活動していた火山の名残の地形だということだ。300万年という時間によって、元の火山の地形はほとんど跡をとどめないほど浸食されてしまっているに違いないが、それでも野伏ヶ岳から願教寺山の岐阜県側には、いかにも火山地形を思わせる高原状の地形が広がっていて、伸びやかな風景の楽しみに加えて、火山マニアとしての興味も引かれるのだ。
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 加えて金曜は、川の浸食で地質がむき出しになった石徹白川の大滝辺りの断崖に面白いものを見つけて写真に収めた。分かりにくいかもしれないが、白っぽい岩のなかに茶色い岩が、割れ目を埋めるように食い入っているのだ。これは明らかに火山学でいうところのダイク(岩脈)というもので、基盤の白い岩を割りながらマグマが地上に向かって上がってきた(そしてたぶん噴火した)後、そのまま冷え固まったものだ。少し斜めの位置から撮った上の写真は、周囲の岩より固い岩脈が削り残されて断崖から突出している様子が分かるし、下半分を正面から大きく写した下の写真では、左のはっきりした狭い岩脈のなかにレンガを積んだような火成岩特有の節理が見える。ここを300万年前灼熱のマグマが激しく上昇して行ったのだと思うと、素人ながらに、地質学的感興が湧いてくることだ。