村治佳織『シンフォニア』

 パソコンに取り込んで最近よく流しているアルバム。当世人気の美形ギタリストだが、技術がしっかりしているのだろう、安心して聞くことができる。特に7曲含まれているスカルラッティがいい。ギター用に編曲されたものだから、たぶん和音などはだいぶ薄いのだろうが、下手なピアノ演奏より楽しめる。考えてみたら、ギターというのは撥弦楽器で、音の質はピアノよりチェンバロに近い。スカルラッティの弾むようなメロディとは相性がいいのだ。それに、チェンバロの金属的な響きは長く聞いていると頭が痛くなるが、柔らかなギターの音色ならよく耳になじむ。できればスカルラッティだけのアルバムを出してほしいが、そんな地味な企画、無理だろうなあ。