クサイチゴ

 木苺の季節である。カジイチゴという2mにもなるシュートを直立させる種類が庭にあって、この季節、黄色い液果をつけるのだが、この実はさほど美味くない。それに鳥にめだちやすいらしく気がつけばついばまれてしまっているのが常。それよりもフェンス周りや納屋の脇の雑草の中にきれいなルビー色の実が見つかる。クサイチゴというごく丈の低いどこにでもある野生の木苺だが、この実がけっこう大きくて甘い。花壇に侵入したクサイチゴは、棘のある茎としぶとい地下茎で草抜きの際の嫌われ者だが、苦にならない場所は抜かずに放置しているのは、この季節の収穫の楽しみがあるから。よく熟したのを摘み取っては口に運べば、ちょっとした野遊びの気分である。