熱帯シャクナゲ


Rhododendron vireya 'Simbu Sunset'
 ホームセンターで見つけて衝動買いしたビレア(熱帯シャクナゲ)が咲き始めた。そもそも熱帯アジアやオセアニアに美しく咲くシャクナゲがあるというのを知ったのはいつ何でだったろう。新しもの好きの業者のカタログでだったような気もするし、「趣味の園芸」の記事でだったような気もするが、はっきりしない。シャクナゲ好きとしてはもちろん一株あればと思ったものの、出鼻は当然高価で手を出しかねた。それが今では近所のホームセンターで千円ほどで買えてしまうのだから、新しい園芸植物の増殖・流通のスピーディなことはどうだろう。
 シャクナゲといっても、温帯シャクナゲとは葉も花もだいぶ様子が違う。葉は車輪梅みたいだし、花も房咲きとはいえ一つの蕾に数花で散漫な感じ。花容は丸弁のラッパ状でツツジシャクナゲに特有のブロッチ(斑点)はない。一番の魅力は、何といっても熱帯植物らしいビビッドな色。このシンブ・サンセットなんてほんとに熱帯の夕陽色だ。ただ、ビレアというのはたくさんの種類があるらしく、形も色も大きさも実に多様なようだ。今後、さらに我々を驚かせるめざましい原種や交配種が登場してくるかもしれない。
 肝心の栽培は、熱帯産とはいえ、冷涼な高山に育っているということで、必ずしも暑さには強くないようだ。夏には遮光や通風が必要らしい。そしてもちろん冬は苦手。霜に当てたり零度以下ではアウトとかで、南国以外では室内か無加温室で。つまり夏はふつうのシャクナゲ並みに、冬は熱帯植物並みに、という手のかかる花。けれど、上手に育てれば、秋咲き・不定期咲きになるという褒美もあるそうで、楽しみな花ではある。とりあえず第一関門は夏越しだな。