能勢

 日射しもようやく春らしくなって、花冷えの名残りのセーターで庭に出ると熱がこもり汗ばんでくる。庭いじりの半日のつもりだったが、この陽気に誘われて昼から浮かれ出てしまった。
 といっても花時の埃っぽい雑踏は御免蒙りたいので裏街道ドライブ。三田から山村のくねくね道を能勢に抜け(コマーシャルが懐かしい三田スケートの廃墟はいつの間にか更地というか野っぱらに変わっていた)、北上して篠山から高速で帰るというコース。
 どこにもメジャーな花の名所はないが、堤防や広場や変電所、いたるところに満開の花の雲があり、山にも桜餅の衣色の若葉に変化のある花色が映えて、行く行く眺め飽きることはない。
 途中、ひそかな目当てだった地酒の秋鹿を求めにノセボックスなるスーパーに入ったら、能勢の人は肉食いなのか、肉類が豊富で驚かされる。嫁さん、焼肉が分厚いと喜んで籠に入れている。食べログで見つけた人気の田舎カフェで一服してから、かつての能勢街道をなぞる173号線ではらがたわ峠天王峠を抜けて篠山盆地に下った。