新ルート開拓


 といっても山の話ではない。単に山に至る道の話。
 氷ノ山は関西では数少ない山スキーにも適したスケール大きな地形を持つ山で、その山に前夜泊ではなく早朝発の日帰りで登れることは、神戸市街の背後に聳える至近のトレーニング適地六甲山の存在とともに、神戸の山好きに恵まれた数少ない幸運の一つなのだが、といって中国山地の脊梁をなすこの山へはそれなりに距離があるから、時間と費用を考え合わせつつ、どのルートを採るかに毎度頭を悩ませることになる。
 先日の横行渓谷へも、これまでは、播州山崎から29号線を北上して戸倉から若杉峠を越えるか、播但道を北上して和田山、広谷から大屋をめざすか、どちらかの後半ルートに高速・下道を組み合わせて選択していたのだが、播但道を選ぶと金がかかり過ぎるし、若杉峠越えを選ぶと時間がかかる、いずれも帯に短し襷に長し。今一つしっくり来ない。
 なんだかなあと先般、MapFan.netを弄くっていたところ、窮すれば通ず、もう一つ面白いルートが見つかった。すなわち、家から走って15分ほどの神戸西からいきなり山陽道に乗り、その先のジャンクションからは西せず東して、中国道を経て舞鶴若狭道に入るのである。舞鶴道を一路北上し、さてここからが盲点だったルートだが、春日ジャンクションから本線を離れて一気に進路を西に取る。
 春日から先は北近畿豊岡道と呼ばれる自動車専用道路というやつで、現在は暫定2車線道だが、限りなく高速道路に近い道である。しかも、中間の遠阪トンネルで300円を徴収される以外は和田山まで無料道路で、休日割引を利用すれば、神戸西から和田山まで1300円で、高速道路とそれに近い規格の道をずっと走り続けることができる。すなわち、播但道を利用するより安いし、山崎経由の峠越えより1時間は早く登山口に到達できる。
 まあ、時間的にも金額的にも、メリットはわずかと言えばわずかなのだが、そんな量的比較よりも、このルート取りには、ドライブ好きには首肯頂けると思うが、ちょっとした裏技的妙味があり一工夫効いていて、それが何より嬉しいのである。しかも走ってみると道の風景もなかなか伸びやかでよろしい。これからは氷ノ山本峰へはこの道で決まり。民主党さんの高速道路無料化プランに舞鶴道は含まれているから、料金がもっと安くなる可能性もある。