氷ノ山

 土曜はこの時期定番の横行渓谷からの氷ノ山登山。気象情報は春の嵐の接近を予告しているが、日中は大丈夫だろうと出かける。
 残雪の早い今年はかなり開いているのではと期待して入った横行林道は、例年通り平家ヶ城休憩所の先の崖際の個所で、デブリがごく部分的に道に残り進行不能に。この道は除雪が入るまではここがデッドエンドと考えてよさそうだ。ザックにスキーを括り付けてスキー靴でトコトコ歩き始める。橋を渡って狭隘な谷間から解放された辺りからいつものようにスキーを履いてと思いきや、その先も今年は雪がとぎれとぎれになっている。しばらく歩いてからようやくスキーを履くが、その後も何度か外すはめに。雪がたっぷり残っている部分とすっかり消えている部分との差の大きさは、この冬のどういう積もり方の違いによるものだろうか。
 2時間で大段ヶ平。登山道に入ると、両側の笹藪はまだしっかり埋もれていて、どこでも自由に滑ることができそう。ただ、大屋町避難小屋手前の鞍部の斜面は早くも笹藪が復活している。部分的に露出した登山道を行くと雪折れしたブナの大枝小枝が邪魔をして苦労しながら進む。今年はブナの雪折れがずいぶん目立つ。K氏と登った2月下旬の三ノ丸でも、ブナに大量の霧氷が着いたための枝折れが少し見られたが、同じ原因だとすれば、より海に近いこの辺りではさらに大きく霧氷が発達したということだろうか。霧氷も度が過ぎるとブナ林にとっては大きなダメージとなるのかもしれない。
 大屋町避難小屋から先は文句のない雪原が広がるが、空模様は早くも風雲急を告げ、南からの風がゴウゴウと森を鳴らし始めた。避難小屋で一服して風に備えてジャケットを着込み、行けるところまで行ってみようと覚悟を決めて出発する。幸い天候はそれ以上は悪化せず、時折身体を揺さぶる突風が吹くなかを、12時過ぎ山頂着。古千本や山頂周辺も今年は笹の露出が多い。直下で下ってくる山スキーのグループとすれ違った以外は、山頂に人の姿はなく、扇ノ山や三ノ丸を眺めてからシールを剥がしてそそくさと下り始める。
 気温が高く重い雪を、不細工な開脚ターンで下るが、それでもスキーは早く大屋町避難小屋までの楽しい滑降はすぐに終了。一旦スキーを担いで鞍部を越え、再び雑木林を縫って大段ヶ平へ戻った。林道を下っていると、高度を下げたせいか、天候が好転したのか、空が明るくなり日射しも戻って、気分よく今シーズン最初の横行コースを終えることができた。

車はここまで

雪折れの枝が散乱

春浅いブナ林

強風に揺れる笹原越しに三ノ丸

大段ヶ平からの氷ノ山全景