楽天カード詐欺

 オレオレ詐欺の対象になるほど年をとっていないし、ワンクリック詐欺にひっかかるほど初心者ではないし、流行りの詐欺はうちには無縁、などと思っていたところが、今日、ちょっとヒャッとする詐欺電話に遭遇した。
 昼過ぎだったか、楽天から名指しで電話だというので取ると、早口の男の声で、カスタマーセンターだが、楽天カードの限度額増額申請が届いているので、確認の電話だという。
 何のことだか分らないので、そんなもの送った覚えはないというと、家族はどうかという。階下におりて一応確かめてから誰も送ってないというと、それはおかしいですねと生年月日を聞いて、確認するので少し待てという。
 大人しく従っているうちに、ようやくおかしいなと思い始めた。男の声はカスタマー担当らしからぬ聞き取りにくいしゃべり方だし、後ろにはオフィスのざわめきがまったく聞こえずシンと静まり返っている。そんな完全防音みたいな個室で仕事をしているカスタマーセンターがあるだろうか。
 何の気なく生年月日を言ってしまったが、問題なかったかと焦って頭を巡らしているうちに、男が電話に戻って、もしかしたらなりすましの増額申請ということもあるから、確認してまた30分後に電話をするという。部署と名前を確認すると楽天KCカスタマーセンターのフルカワと名乗って電話を切った。
 30分待つまでもなく、電話を置いてすぐに詐欺だという確信は深まったが、男が聞いたのは生年月日だけだ。カード番号も聞いてないし、第一、自分は楽天カードなんて作ってない。楽天の会員登録にも生年月日でパスワードは設定してないから、とりあえず実害はなさそうだと湧き上がる不安をひとまず鎮めたが、聞かれるままに生年月日を言ってしまったのが癪に触る。冷静に考えたらそんなもの必要なはずがない。半分ひっかかりかけてたじゃないか!
 下に行って家族と騒いでいると、さっそく娘が同じような事例を書いているブログを見つけた。読むと、自分の場合とは違い、身に覚えのない限度額申請をおとりに、カード番号や有効期限を聞き出そうとするという詐欺犯の本性を露している。さすがに行政書士さんだけあって、会話も完全に記憶されているし、対応もおみごと。楽天への確認もちゃんとされていて、一本取られかけた自分とは大違いだ。
 そして、「楽天楽天カード楽天加盟の販売店のうちどこかから情報が流出して、そのリストを元にこのようなフィッシング詐欺が行われている」のではないか、という疑いは、まったくその通りだと思う。ただ、楽天カードを持ってない自分のところにもかかってきたことを考えると、その情報はあまり完全なものではなさそうにも思えるが、もちろん事の重大さは変わらない。
 こちらも一報しておこうと楽天カードの窓口に電話をすると、テープが流れてカード会員以外は有料通話になるというので、ムッと来て電話はやめた。ならばメールでとトップページを探すが、どこにもアドレスが見つからない。何という風通しの悪さ。
 そのうえ、行政書士さんのブログでは楽天も事態を把握しているようだが、まだまったく注意喚起は出されていない。宣伝メールは放っておいてもワンサカ送りつけてくるくせに、こうしたマイナス情報への対応はきわめて消極的なのがショッピングサイトの常のようだが、被害が広がる前に最大限警告を発するのが義務というものだろう。
 TAの着信履歴には0345906911という電話番号が残っていたが、こりゃいったいどこの国の番号だ?