中国山地ドライブ

 日曜夜7時。荷物を車に積み込み、風呂にも入って、いざ山へ。と、最後に天気予報をチェックして愕然。ここまでずっと好天続きを約束していた予報が突然暗転しているではないか。月曜は午後から曇り、火曜はもっと悪い。これで連休後半の登山計画は急転直下消滅。荷物は車に積んだまま、次の土日に望みをつなぐ。
 勢いを持て余した翌日は、嫁さんを誘って遠出。鳥取砂丘を最終目的地に、西へ走り北へ走るが、走っては渋滞、下りては行列。道の駅は駐車もままならず、レストランに入ってもテーブルにもつけずに待たされる始末。これでまだ峠を越えて裏日本には入ってないのだから、高速大安売り下の第2の大型連休の観光地はどこも遠い。
 あっさり諦めて脇道に逸れる。寒村に突如出現するふるさと創生施設が異様、いや威容を誇る東粟倉から佐用へ抜ける初秋の中国山地ドライブにコース変更。折しも稲田が黄に輝き、畦には彼岸花の赤が目にしるく、のんびり走っていれば気分はいい。

 ところが道が佐用川に沿うと、記憶に新しい8月の水害の痕跡が目につき始める。因幡街道の宿場町平福に久しぶりに立ち寄ってみると、ここにも泥水に荒らされて改修中の家が少なくない。特に上流側の家に被害が多そう。まったくニュースにはなっていなかったので、平福の伝統的な町並みも被害を受けていたことに驚いた。

 こうなると平福を代表する景観、川端の蔵屋敷の眺めが心配になる。佐用川にかかる橋に立ってみると、幸いここは以前のまま。けれど、よく見ると蔵の土壁の下の方が一部削れている。あんなところまで水が来たとしたら、この家々もかなり危なかったわけだが、建物自体は水流に直面してもびくともしていないように見えるのは、増水に備えて頑丈な作りになっていた江戸以来の智恵の恩恵だろうか。
 佐用から中国道に乗ってとっとと帰る。