夏山仕度・大型ザック編


 山登りを始めて以来長らく使ってきた大型ザックが傷んだ。以前、ショルダーベルトの付け根の縫いつけが取れたことがあって、嫁さんに縫ってもらって対応していたのだが、今度は腰パッドの中のウレタン?が寿命のようで、劣化した黒い粒がたくさんこぼれ出てくる。テントの中がザラザラになってかなわないので、ついに見切りをつけた。最近のザックは腰パッドだけ換えることもできるようだが、ピッグパックというマイナーなドイツのメーカーの古いザックで、そんなことはできそうにない。
 これがないとテント泊山行ができないので、新しい大型ザックを選ばなければならない。冬以来、折に触れネットでよさそうなものを探してラインアップしたのが、
・マックパック トーレス65
・マムート アレート60
・ドイター エアコンタクト 65+10
オスプレー イーサー60
モンベル エクスペディションパック65
 特に基準といったものはなく雰囲気中心の選択だが、天の邪鬼なので知る人ぞ知るといったものにしたいと選んだのが前3つ、性能・値段比で選んだのが後2つといったところだろうか。
 ところで重荷を背負う大型ザックである以上、背負い心地が第一の選択基準になるべきは当然なのだが、この点に関しては事前に知ることは簡単ではない。山道具屋には新聞紙で形だけ膨らませたザックが装着用に用意されているが、重荷を詰め込んで背負ってみなければ本当の背負い心地は分らない。まさか幕営装備を担いで行って、これを詰めて背負わせてくれというわけにはいかないし、最も重要な背負い心地というポイントを事前に確認することはあきらめている。第一、マックパックやマムートといったマイナーなザックは置いている店も限られている。この点に関しては、買ってみなければ分からんのである。
 こんなことをやっているうちに気づいたことがある。今の大型ザックは10年以上もったから、新しいザックもそれぐらいは使えるだろう。考えたくないが還暦をとうに過ぎた年までである。次のザックが最後の大型ザックになる可能性が高い。だったら、今生の思い出に最高のザックを背負ってみてもいいのではないか。となれば、衆目の一致するところ、オスプレーのアルゴン70ということになる。機能満載、背負い心地も抜群で、さすがに値段は上の候補のうち一番安いモンベルの倍。思い切ってこれで行ってみるかと、嫁さんの顔を横目で見つつ決断手前まで行ったのだが、結局買ったのは半分の値段のものということになった。実はもう一つ欲しい山道具が浮上して、急遽予算組み直しとなった次第。なんのこっちゃ。
 最安の大型ザックとはいえ、モンベルのエクスペディションパックには今のところ満足している。第一に正面から大きく開くことのできる仕組みなので、テント設営の時、上から順番に荷物を取り出してからテントを引っ張りださなくても、直接テントを取り出すことができる。これは雨の時など特に便利だろう。第二に内ポケットがたくさんあるし、作りも細かいところまで神経が行き届いている。これはモンベルという国内メーカーの美点だ。色や雰囲気もちょっとストイックでいい。ただし、肝心の背負い心地は実地で評価するしかない。夏のテント泊山行が大いに楽しみかつ少し心配である。
 もう一つの山道具に関してはいずれ報告。