霧島

 雨だれ式にしつこい南九州ネタもこれでおしまい。
 霧島ホテルの体育館みたいな超弩級の庭園風呂に腰を抜かして溺れそうになった翌日は、霧島道路を登ってえびの高原に遊んだ。高原は折しもミヤマキリシマの花盛り。車でいっぱいの韓国岳登山口に停めて、高みをめざす登山者の姿を見送りつつ、辺りを散策してみる。
 登山口から少し上がった所に江戸時代に噴火したという砕屑丘の硫黄山があって、草木のない荒涼とした地熱地帯になっている。昔は硫黄の採取も行なわれていたらしい。20年ほど前に来たときは噴気も活発で一帯は臭気芬々だったものだが、今はまったく止んで風景だけが活火山らしさを残している。少し離れればミヤマキリシマの丈の低い茂みが山肌をおおい、濃ピンクの花がそれを飾る。
 山に登ればもっとみごとな群落が見られるようだが、ここでも十分きれいだ。九州にしか自生しない高山性のツツジ、ミヤマキリシマは好きな花木の一つで、家にも何鉢か持っているが、山で咲いているのを見るのは初めて。暖地の鉢では思うように育たないし咲かない木も、さすがに自生地での姿、咲きぶりはみごと。これを庭で再現できないのは残念だが、それが高嶺の花というもの。ミヤマキリシマの咲く九州の山を存分に歩いてみたい、長年を夢を少しだけ実現した気分で高原を後にした。

登山口の近くでも花盛り

火口壁が大きく崩壊した韓国岳

崩壊壁にも咲く

黄山とミヤマキリシマ

岩をおおうように咲く

高千穂河原の霧島神宮古宮址には多様な色合いの植栽が
おまけ。高千穂牧場からの高千穂峰