南九州遺跡見物その二

西都原古墳群
 旅の最後の日に宮崎に寄り道して西都原古墳群を訪ねてみた。大小の古墳が広々した台地に点在している空撮写真を大昔に見て以来、一度行ってみたかった全国的に名の知られた古墳群。西都市の市街地から西へ、一段高くなった広大な丘陵に車を進めると、畑と草原にまじって墳丘らしき高まりが幾つも現われる。しかし広すぎて取り留めがないなあ。北東の隅にある博物館に入ってみた。
 県立の立派な博物館だが、驚いたことに入場は無料。もっと驚いたことに中はえらく凝った作りになっている。暗い中、スポットライトに展示物が浮かび上がり、神秘的な効果音が流れる。宮崎でこんなモダンなミュージアムに出会うとはなあ。展示はどうも宮崎の古代全般をテーマにした通史的なもののようだが、全体にイメージ先行で東京の企画会社が好き勝手やらせてもらいましたという感じがしないでもない。それに肝心の西都原古墳群については、どんな構成でいつできたのか、誰が作ったのか、結局ほとんど分らない。
 もちろんイメージ的な展示だけでなく、一角には考古学教室と銘打ったコーナーがあって、考古学のさまざまな研究手法を本やモニターで勉強できるようになっていたりもするのだが、これはいきなりレベルが高すぎる。結局、まったく考古学に縁のない人にはアトラクティブな展示が面白いだろうし、年若い考古学徒にはちょっとした勉強ができる場になっているのかもしれないが、自分のような考古学好きの旅行者には、イメージ的通史的な展示はあまりに取り留めないし、研究コーナーは専門的過ぎてじっくりつき合う時間がない。せっかくの凝りに凝った施設だが、頭をひねりながら後にするしかなかった。
 西都原古墳群というのは結局何なのだ?