労研饅頭


 松山の一番の繁華街、大街道商店街で強く目を引いた店。労研とは何ぞや、それを冠した饅頭とは何ぞやと、店頭のケースをのぞいてみると、いろんな色・形の蒸し饅頭みたいなものが並んでいる。店の奥には由来書きが掲げられていて、「昭和の初めに倉敷の労働科学研究所で中国の饅頭を日本人向けに改良して作ったのが始まり云々」とある。なるほど労働科学研究所で労研か。饅頭はマントウと読むらしい。
 何種類か買って帰って朝飯に食ってみた。餡入り・味付け色々あるが、具は少し、味付けは薄く、弾力のあるしっかり詰まった蒸しパンという感じで、腹持ちはよさそうだ。食パンが普及してなかった頃は、ご飯・味噌汁の手間な朝食に代わって手っとり早くカロリー補給できる食品として重宝されたということかな。食事に手間隙を割かれずに労働にかり出したい企業家の要請にこたえて考案されたもの、という見方もできなくはなさそう。いずれにしても面白いものが松山には残ってるものだ。
 ちなみに日本で唯一、今も労研饅頭を作っているという、この「たけうち」という店のサイトはよくできていて、饅頭の歴史について詳しく知ることができる。掲示板には労研饅頭に絡んだ研究発表の告知なども載っていたりする。加えて、ウィキペディアにも労研饅頭の項目がある。その記述の詳しさは、このオタク的百科全書の面目躍如だ。

砥部禎山窯のカップ・皿と