古本市


 三宮のサンボーホールで古書市が開かれているのでのぞいてみた。県下最大級の催しだそうで、20ほどの古書店が出店している。最近はネット古書店を重宝する一方で、実店舗をのぞくことは稀になってしまったが、これだけ本が並んでいるとやはりワクワクする。といっても、一番の目当ての和本とか古い登山地図とかは最初から期待できないので、目を血走らせてというわけではない。
 実際和本はわずかしかなく、茶山翁の黄葉詩後編5冊(となっていたけれど、後編は確か4冊だよな)弍萬金が目を引いたのみ。二三の店で地図の束を繰って六甲山の古い山路図を探してみたが、これも見つからなかった。芦屋の美術博物館で品切れだった小出楢重の素描集も見当たらず。
 結局、石川淳『江戸文学掌記』、中村真一郎『詩人の庭』、加藤泰三『霧の山稜』、どれも相場の半値程度で、合わせて弍千金餘。『詩人の庭』以外は文庫などで持ってるものだが、味読に値する本はハードカバーで置いておきたくなる。特に『霧の山稜』は覆刻本とはいえ、この類ない青春の山の書を出版時の姿で手にすることができるのは嬉しい。