裁判員PTSD

「遺体切断、法廷で検察再現 3時間半、号泣の遺族退廷」(asahi.com
 5月から始まる裁判員制度に備えて「目で見て分かりやすい審理」を心がけた結果だそうだが、そうか、こういう側面は見逃されていたかもしれない。
 裁判員制度を皆さん蛇蝎の如く忌み嫌うのだが、むしろ国民の権利として、下世話に疎い、時にひどく固陋な裁判官の判断をチェックする機会として、もっと積極的にとらえてもいいのではないかと、自分などは考えていたのだが、精神としてはそうであっても、そこで直面する事実は時にとんでもなく負担の重いものになる。そこでは、人間のダークサイド、精神の荒廃、その残虐・卑小・傲慢の極北が如実に示されるのであって、そんなものといきなり対面して平然としていられるほど、一般人の精神は強靱ではない。
 裁判員は20歳以上から等しく抽出される(た)そうだが、ああいうダークな事件の場合、担当する裁判員には考慮が必要なのではないか。たとえば20代は除外する、女性も除外する、専門家が細かく一人ひとりの心理耐性をチェックして弱い人は除外する、そういう対策をほどこさないと、裁判員体験が深い心的外傷を残すということにもなりかねない。