「影武者」

 BSで「影武者」を見る。公開された時に見に行って以来だから28年ぶり。壮大な様式美に圧倒されたという印象が残っているが、今見ると特に前半は黒澤らしい濃やかな人間ドラマになっていて、いい意味で印象を裏切られた感じ。年をとって見えやすくなった部分があるということかな。逆に、後半の長々と続く集団的様式美の戦闘シーンは、あれだけ大音響が鳴っているのにウトウトしてしまった。年をとって鈍くなった感性もあるということだろう。音楽で、交響曲を聴くのがしんどくなり、ピアノや声楽曲がおもしろくなった、というのに共通しているかも。思いがけず自分に過ぎた時間を感じさせられてしまった映画。