フェルコ6番

 終日、庭の仕舞い支度。菊と一部のサルビアを除いて花は終っているので、枯れ穂を刈り込んで整理する。フェンスに絡みついた雑草・半雑草との格闘も。今日は移植ゴテもフォークも持たず、ひたすら鋏を振り回す。こんな時頼りになるのが数年使っているスイスの鋏メーカー、フェルコの剪定鋏。最初はよく切れても、たちまち使い物にならなくなる剪定鋏が多いなかで、ずっと切れ味が変わらず、扱いやすく、まさに道具としての実力はピカイチ。
 フェルコの鋏には数種類のタイプがあるが、この6番は一番刃が短くコンパクトなタイプ。太い枝を切るには刃の長いタイプが有利だが、ふだん庭で使うにはこれがいい。もちろん薔薇の剪定にも向いているし、葡萄やキーウィの剪定程度なら問題なく使える。実用性だけでなく、道具としての雰囲気がいいのも魅力。見るからにしっかりした作りとよく考えられた形。分解して簡単に刃を取り替えることもできるが、プロならともかく一般の家庭ではなかなかそこまで切れ味が鈍らない。たぶん一生ものと言っていいんではないかな。
 庭仕事の時は、いつも皮ケースに入れたフェルコを腰にぶらさげて庭に出る。連邦保安官になったワイアット・アープが拳銃を腰に町を歩くが如くである。終った花穂や邪魔な枝をスパッと切って、さっと腰のケースに収める。すこぶる気分がよろしい。庭仕事を終えたら刃についた樹液や泥を拭き取り、年期の入り具合を満足げに確かめる。万事が薄手の使い捨て品ばかりになった時代に、そうした思い入れができる数少ない道具の一つがフェルコの剪定鋏なのである。
Felco No.6
 ちなみにフェルコはネット通販でもたくさん出ているが、店によって結構値段に差がある。お勧めは、プロ用の道具を扱うこの店。猪罠や熊除け鈴まで売ってるから面白い。オリジナルケースではないがフェルコ用ケースも安くてある。