コロー展

 天気が急速に回復した午後、山を下りて神戸市立博物館のコロー展に出かける。コローといえば、個人的には「モルトフォンテーヌの思い出」。美術の教材か何かで見て、その抒情性に引かれたのが、絵というものが面白くなる最初だった。当時集英社からヴァンタンという安価な名画全集が出ていて、コロー・ミレー・クールベの巻を買ってから、後期印象派やルオーやクレーに親しむまでそんなに時間はかからなかった。だから、西欧近代絵画へ導いてくれた懐かしい画家。
 といっても、実物のコローに触れるのは初めてで、代表作を網羅した充実した展示をじっくり見ていく。展示構成が年次順ではなく、画風の変遷がつかみにくいのが残念だが、その絵の成り立ちが何となく分かった気がする。大ざっぱに言って、清新な風景画から出発して、ロココの尻尾を引きずったサロン性を上手に取り入れながら、親しみやすい抒情絵画へというところだろうか。同時代のクールベなどにくらべて古くさいスタンスだが、風景への目や構成力がしっかりしているから、雰囲気だけのあいまいな絵にはなっていない。けど一番の傑作はサロンを意識せずに描いたという晩年の人物画「真珠の女」や「青い服の婦人」だろうなあ。