永澤寺

 久しぶりに花菖蒲を見に行った。子どもが小さかった頃はあっちこっち花を見に行ったものだが、最近は自前のささやかな花壇で満足していることが多い。永沢寺も10数年ぶり。篠山盆地から南へ一山越えた山間の小盆地に曹洞宗の禅寺があり、一帯に菖蒲園・ぼたん園・芝桜の絨毯が開かれ、春から初夏まで商売上手に花見客を集めている。
 ちょうど見頃の広い菖蒲園をぐるっとひと巡り。昔は何でも栽培したかったので、どんな苗を買って帰ろうかと、好みの花を探しつつ歩いたものだが、今は園芸の守備範囲がごく狭くなって、とりどりの花を欲抜きでぼんやり見て回る。といっても、好みの花にはやはり目が行く。浴衣にもよさそうな淡い色合いの洒脱な縞柄のものがいいなあ。思えば、江戸時代に肥後・伊勢・江戸で園芸植物として花開いた花菖蒲にも、うっとおしい梅雨を涼やかに送るための日本人の智恵の一端が表現されているのかもしれない。
広い園内をそぞろ歩き
種類ごちゃまぜの花壇も面白い
水郷風景も再現されていた