ゲルバー

 教育テレビでゲルバー・N響ベートーヴェン3番協奏曲を聴く。CDでおなじみのゲルバーだが、コンサート映像を見るのは初めて。若い頃のジャケット写真にくらべて、ずいぶん太って、失礼ながらオカマバーのママ風の特異な容貌。足も悪いようだし、幼い頃に患ったという小児麻痺がその姿に影を落としている。
 しかし音楽は変わらず豊麗。肉付きのいい太い指からたっぷりとして輝かしい音が叩き出される。N響・尾高もよくピアノに呼応している。5月6月と国内ツアーを行い、ベートーヴェンの中期ソナタを近くは川西で聴くことができたよう。録音に熱心でないせいか、CDでは存在感が濃いとはいえないゲルバーだが、ポリーニより一つ上のもはや巨匠と呼ぶべき年齢。次の機会にはなんとか聴きに行きたいものだ。