原節子と杉葉子


 昼飯を食いながらテレビを見ていたら「青い山脈」をやっていて、思わず最後まで見てしまった(閑人)。これまでに5回も映画化されたという青春ドラマの古典だが、これは一番最初に作られた世評の高い今井正監督作品。女教師に原節子バンカラ高校生に池部良、そしてヒロインの女学生がなんと杉葉子。これが本格的な映画デビューだったそうだが、これはちょっとした発見だった。
 当時29歳の原節子の輝くような存在感。この人が出てるだけで、映画の格が二段も三段も上がる感じ。それに対して、杉葉子は演技も下手で、容貌もちょっとワイルドな造作の野暮ったい感じだが、当時は健康的なスタイル(特に水着姿)が評判になったのだそう。でも、やはり杉葉子といえば、後の成瀬巳喜男作品。「夫婦」の若妻役もよかったけど、「めし」でのはつらつとしてスマートなイメージが思い出される。ここでも原節子との共演だが、「青い山脈」からわずか2年であか抜けたこと。脇役で魅力的な存在としては香川京子と双璧だろう。