大立者

 予測できない展開を見せて、ようやく一段落ついたらしい大連立騒動。昨日辺りからはその舞台裏の話も漏れ聞こえてくる。保守系新聞のボスが言い出しっぺで、おっちょこちょいの首相経験者が仲立ちした云々。聞いていて、大立者というあまり使われなくなった言葉が浮かんできた。最近はフィクサーというんだろうか。かつてお馴染みの政財界どれあいのボス政治だ。
 まあ、政治というのはどの国でも最初は、力のある者、権力を持つ者が、額を寄せ合い、それぞれの腹が痛まない算段をして動かしていたものなのだろうが、それでは力のある者に有利なようにしか物事が決まらないというので、デモクラシーというのが生まれた。ところがこの国では、デモクラシーが制限されていた戦前はもちろん、戦後も政権がほとんど移動しなかったため、政治家は民心を気にせずボス政治に励んでいればよかったわけだが、近年になってようやく流れが変わった。
 小泉は党内基盤が弱いにも関わらず高い支持率を背景に強権をふるったし、人気を背景に登板した安部は下がり続ける支持率に自滅した。国民の支持というか人気を得ることが、政治家の少なくともトップをめざす者の条件になったように見えた。ところが後を受けた福田は、人気に関係なく党内事情で登板し、支持率には無関心だ、あるいは無関心を装っている。そこにこの動き。もし次の選挙で与党が勝ち、政権交代の可能性が遠ざかったら、政治家たちはまたぞろ我々とは関係のない所でボス政治に血道を上げ始めるんじゃなかろうか。