160億画素の高松塚壁画


 「ダ・ヴィンチ・コード」ではイエスの子を身ごもったマグダラのマリアにされてしまったところの「最後の晩餐」のヨハネ。ここまでアップになると絵の具のひび割れまで見えるが、これはまだ序の口。なんと160億画素という超高精細画像をイタリアの画像処理会社のサイトで見ることができる。たぶん修復家ぐらいしか目にできない名作の素肌が、惜しげもなく公開されている。このフレスコ画を現地で遠くから見るよりも、パソコンでこのサイトから見る方が、得られる情報はずっと多いに違いない。
 それで思った。文化庁という無能力なくせに風通しの悪い役所が、ちょんぼと見て見ぬ振りを重ねて台無しにしてしまった高松塚壁画。あれも苦しまぎれのいちかばちかの解体(文化庁こそ解体しろ)に踏み切る前に、こんな風な精細な画像をちゃんと残しているんだろうか。残してるなら、先日訪れた飛鳥資料館でキトラ古墳壁画がそうであったように、申し訳程度のレプリカ公開をするだけでなく、こんな風なシステムで世界中だれでも見れる状態にすべきだし、そうする義務が国民の宝を頑迷に囲い込み続けてきた文化庁にはある。情報にしても宝物にしても、無条件の公開こそが国民の権利、公僕の義務と中央官庁は知るべし。
 もちろん、こういう超精細アーカイブシステムで見られたら素晴らしいだろうなと思うものは、他にもたくさんある。たとえば洛中洛外図屏風以前から、最高傑作の舟木本がこんな風にアーカイブされることをずっと願ってるんだが…。