森 麻季

 子どもを迎えに駅まで往復する間に流していたFMから、実に美しい歌声が。たちまち耳をとらえられてしまって、誰だろうと聞いていると、椿姫のアリア、森麻季だという。そういえばほっそりした美人のソプラノを、以前テレビで見たっけ。こんなにきれいな声と素晴らしい技巧の持ち主だったとは。もう番組は終わりかけで、家に着いてからも車をしばらく降りずにアンコールを聞いていた。6月にあったリサイタルの録音。オペラのアリアや歌曲、日本の歌も歌ったみたいだが、なかにリヒャルト・シュトラウスの「四つの最後の歌」があったらしい。あの、後期ロマン派の、というよりも調性音楽の最後の美しい夕映えのような曲を、この人がどんな風に歌ったか、聞きたかったなあ。再放送はないんだろうか。たぶん世界レベルのこのソプラノの録音は、今後要チェック。そのうち、大好きなシューマンの歌曲なぞ、入れてくれないだろうか。