地方本

 旅の楽しみは色々あれど、本好きにとっては、地元で書かれ出版された、その地方ならではの本に出会うことも、その一つだと思う。先日の小さな温泉旅行では、『僕らはまちなみたんてい団』という児童書みたいなタイトルの地元本を見つけた。宿のロビーに置いてあったのを見て、帰路、豊岡の本屋で購入。南但馬で活躍する若手建築士グループが、地元の民家と町並みの美を再発見した本だ。何より嬉しかったのは、以前に紹介した氷ノ山山麓の山村に見られる土壁の民家の魅力がふんだんに紹介されていること。雨戸が外になく、白く縁取られたシャープな窓枠が土壁に並ぶ旧大屋町の県道48号線沿いの民家など、「国籍を超え時間を超えた、超モダンな建物」と讃えられているのは、本当にそうだなと思う。その他にも山村や町家のさまざまな美に目配りがされていて、楽しめる本。いい町にはいい地方本あり。ただ、帰ってから探してみると、この本もちゃんとアマゾンで買えるようになっているのは、嬉しいような嬉しくないような。ローカリズムグローバリズムの共存?
大屋町若杉の民家のモダンな表情