鉄斎美術館

 清荒神に立ち寄る。このところ宝塚辺りにたびたび通っていたのだが、いつも開館時間に間に合わず、ようやく鐵翁への拝謁がかなう。今回は絵ではなく書の展示。書は分らないので、ざっと見るだけ。勤皇派弾圧から一時身を隠すことを知らせた蓮月尼への手紙と、明治天皇の巡幸の下見の旅先から妻へ宛てた手紙が目を引いた。どちらも蓮月譲りのきれいな草書で、鐵齋にもこんな手があったことを知る。いずれにしても、これら筆文字の文化はずいぶん遠くなってしまった。

「須らく煩に耐ふべし 大正十年一月 八十六叟鐵齋錬」