エマ・カークビー『パーセル歌曲集』


 アップルストアから、5色のiPod shuffle登場のメール。ウェブサイトを見てみると、最初のシルバーに4色が加わって、キャッチコピーも“Put some color on.”に変わっている。“Put some music on.”というコピーにはなるほどと思ったものだが、colorとなるとどうなんだろう。発売後の人気が一段落したところで、カラー版を投入してテコ入れといったところなのだろうが、ハデハデなカラーはさりげないクリップデザインには似合わない。いっそのこと金色にでもした方がよかったんじゃないの。
 最近、このクリップ型iPodに入れているのが、カークビーのパーセル歌曲集。イギリス17世紀の作曲家ヘンリー・パーセルの歌曲の魅力を知ったのは、キャスリーン・バトルの「ザルツブルク・リサイタル」というCDでだったが、これはオムニバス盤。パーセルだけの盤を探して出会ったのがエマ・カークビーというイギリスのソプラノによるこのCD。曲もいいが歌手もすばらしい。これ以上美しい人の声が想像できないほどの、濁りのない、天国的なソプラノ。その声で歌われる英語の詩は、とても魅力的に聞こえる。聞き慣れたドイツ語の歌曲にくらべて、より柔らかく伸びやかな音は、女声とくにソプラノしか合わないような気がするがどうなのだろう。
 Your eyes, your mien, your tongue declare
 That you are music ev'ry where.
 3番目の曲、「音楽は愛の糧」のサビの部分の美しい歌詞。これをカークビーの無垢の声が反復して歌うのを聴くだけでも、このCDを持っている価値がある。