1.17

 震災12年。ふだん神戸の町であの大災害のことを意識することはほとんどないが、地域はやはり震災を機に大きく変わってしまったし、今もその影響は続いている。人間的・文化的・社会的・経済的なマイナスの総和は、今後数十年かかっても取り返せないレベルのものじゃないだろうか。少し注意して歩けば、人通りのめっきり減った商店街、閉鎖された店舗やスーパー、軒並み空き部屋のめだつ郊外のマンション、新開地のようにプレハブ住宅ばかりになり空気が希薄になったような住宅街などが目につくはずだ。失った命の多さを象徴するように、町にはエアポケットのような更地が点在する。そして、行政の不作為と血の通わない対応が(もっと言えば、神戸空港建設強行という裏切りが)復興の風景を寒々しいものにしている。夜空に浮かぶルミナリエは確かに華やかだが、それは幾夜かの夢に過ぎない。現実の町からは好ましい神戸らしさが薄れていっているような気がしてならない。