ずんだ餅


 枝豆を大量にもらったので、塩茹でばかりでは芸がなかろうと、ずんだ餅というのを作ってみる。要するに枝豆の餡を餅にまぶしたもの。よく茹でた豆の皮をむいてあたり鉢であたる。そして、砂糖と少々の塩と水と一緒に火にかければ、薄緑も鮮やかな餡になる。これを、チンして軟らかくした餅と合わせればできあがり。ひとくち頬張るとまず口腔に広がるのは、馴染み深い枝豆の香り。同時に来るのがいつもの塩味ではなく甘味、というのがこの食べ物の面白さ。味覚の条件反射を裏切る新体験。しかし、2度3度と口に運んでいると、最初は突出して感じられた枝豆の香りが、甘味を媒介に意外なほど餅になじむのに気づくはず。枝豆の野趣をみごとに生かした、味・見た目ともに楽しい郷土食である。