駒ノ尾山スズノコ狩り

 土曜は嫁さんを連れて今が旬のネマガリダケの竹の子狩りに。氷ノ山はライバルが多いし、奥津の自然公園は天気が下り坂の日には少し遠い。久々に粟倉の駒ノ尾山に行ってみることにする。
 中国道佐用インターから下道のつもりだったが、いつの間にか鳥取道というのが出来ていて、開通している大原までそのまま走れる。この道路、新直轄方式とかで全線無料のよう。粟倉の辺りを除いてほとんど開通しているようで、鳥取へは山崎から戸倉トンネル越えで行くより、こっちの方が早そうだ。
 粟倉から国道を右折して登山口への林道に入ると、去年の豪雨の時の被害だろうか、改修工事をやっている。幸い土曜は休みなので、フェンスを動かして押し通ってしまう。登山ではよくあるケースだ。
 登山口には立派なトイレがある。道も遊歩道と呼びたいほどに整備されているし、途中には休憩舎や展望櫓もある。足弱の嫁さんに最適のコースだ。その分、登山の雰囲気は薄くなって、昔、子どもたちも連れてきた時にはかなりの登山者を見たものだが、今日は林道の工事のせいもあるのだろうが、歩き初めに数人の高年グループ、中ほどで単独一人とすれ違っただけ。出発が遅くなったこともあって、その先は貸し切りの山だった。
 標高が1200m近くになるとネマガリダケが現われ、目は道の両側の藪に引き寄せられる。ふだんは視界がなく鬱陶しい笹藪の切り開きの道も、この季節は楽しい宝探しの道だ。目が慣れてくると、あるある、けっこう道から目につくところにスズノコが出ている。たくさんの人が竹の子狩りに訪れる氷ノ山ではこんなことはありえないのだが、ここではほとんど取り放題だ。
 軍手をはめて藪に突入して、次々に竹の子を折り取っていく。折りながらまた次のを見つけるという具合で、びっしり密生した藪にどんどん入り込んでしまう。準備が悪くて、タオルを巻かなかった首筋からゴミが入るし、スパッツを忘れたズボンの裾から虫が入ったか足が痒い。それでも夢中になって竹の子ハンティングを続ける。
 少し登っては藪で一稼ぎを繰り返して、遅々として道は捗らないが収穫は順調に増える。小一時間でレジ袋二つが竹の子で一杯になった。けど藪との格闘は登山以上に疲れるし、雲が厚くなり風も出てきたので、適当に切り上げて先に行っていた嫁さんと山頂で合流。少し下った避難小屋で遅い昼食をとる。この避難小屋はよく利用されているらしく色々デポされているし、薪の準備もある。真冬の大寒波の時などに一泊すれば面白かろう。
 竹の子でずっしり重くなったザックをかついで下山。きりがないのでもうやめておこうと思いつつ、下りも獲物が目につき、藪に頭を突っこみつつ下る。下りてきて、登山口に熊避け鈴の貸し出し箱が設置されていたのに気づく。知らぬが仏、そんなにクマの多い山だったとは。
 帰路は林道を大茅スキー場方面に抜けて、粟倉の黄金泉で汚れを落とす。以前はよく賑わっていた記憶があるのだが、この日はなぜか人が少なく、ゆっくり長湯ができた。